「津軽じょんがら節」をご存知ですか?
津軽を代表する民謡の一つですが、名前は聞いたことはあるけれど、よく知らないという人も多いのでは。
そこで今回は「津軽じょんがら節」の魅力を、由来やルーツと共に、動画も交えてご紹介します!
一度聴いたら、そのダイナミックながらも繊細な津軽三味線の音色に魅了されること間違いなしですよ♪
じょんがら節とは?曲の意味や由来は?どんな種類があるの?
「津軽じょんがら節」(じょんから節とも)は、津軽三つ物または津軽三大民謡の一つに数えられます。他の2つは「よされ節」「小原節」ですが、「じょんがら節」が一般的には一番有名ですね。
本来は津軽三味線による前奏の後に太鼓が入り唄へと続くものでしたが、現代では「曲弾き」といわれる、歌が入らず三味線の演奏だけのものも多くなりました。
じょんがら節の由来は一体どこから?
津軽民謡の代名詞のような「じょんがら節」ですが、もとを辿れば新潟・十日町市の「新保広大寺」が発祥と言われています。
ここで起きた農地を巡る争いが原因で、広大寺の和尚を追い出すために歌った「悪口唄」が元でした。この唄が越後で大流行、やがて越後ごぜの「口説節(くどきぶし)」となって全国に大流行したそうです。
ちなみに、「ごぜ」とは三味線を携えて各地を廻り、唄や踊りを披露して職業としていた盲目の女性のこと。女性版の琵琶法師と言えばわかりやすいでしょうか。
その越後ごぜたちが北上し、津軽で歌い継がれるうちに変化していって出来たのが「じょんがら節」だと考えられています。
「じょんがら」という名前も不思議な響きですが、その由来についてはいくつか説があるようです。
主な説は2つ
その昔、浅石城主・千徳政氏を滅ぼした大浦(津軽)為信が、政氏の墓をも暴こうとしたことに抗議した僧・常縁が川に身を投げました。
村人たちはその河原を「常縁河原」と呼び、政氏の悲運を嘆き、常縁の霊を慰めるために唄ったものが、じょんがら節の始まりと言われています。
「じょうえんがわら」が「じょうがわら(上川原)」になり、「じょんがら」に変化したのですね。
江戸時代後期の大坂を発祥とし、阿呆陀羅経に節をつけたものや浪花節の前身のようなものを唄い踊る門付芸がありました。
その門付け芸人を「ちょんがれ坊主」といい、そのちょんがれ坊主の唄「ちょんがれ節」が各地に広がって「輪島ちょんがり節」や「津軽じょんがら節」となったといいます。
「ちょんがれ」が訛って「じょんがら」となったようですね。
じょんがら節にはどんな種類があるの?
「じょんがら節」には、「旧節」「中節」「新節」「新旧節」と大きく分けて4つの種類があります。
それぞれの演奏されてきた時代によって、構成やリズム、テンポが違うようです。
「中節」・・・・・・テンポを落としてゆるやか、装飾的で旋律は三拍子
「新節」・・・・・・ややテンポが早く、エネルギッシュな旋律
「新旧節」・・・・・・過渡期
「新旧節」に関しては勉強不足で調べても具体的なことがあまり分からなかったのですが、新節とほぼ同じ旋律ながら、新節に見られる「叩き」と呼ばれる奏法はあまり多用せず、前後バチを使って演奏するようですね。
聴き比べると「新節」はダイナミック、「新旧節」は重厚な印象を受けました。
かっこよすぎるじょんがら節「吉田兄弟」「上妻宏光」「浅野祥」
「じょんがら節」の成り立ちや種類についてご説明してきましたが、ここからは実際にどんな演奏なのか、聴いて見ましょう!
まずはダイナミックな演奏がしびれる男性奏者の演奏からどうぞ♪
吉田兄弟といえば、数々のアーティストとのコラボや海外での活躍など、言わずと知れた有名な津軽三味線奏者ですね。
兄弟お二人の息の合った演奏、不思議なグルーヴ感に思わず聞き惚れてしまいます♡
民謡の伴奏や、洋楽とのセッションでも高い評価を得ている上妻宏光さん。
舞台やドラマ、映画などへの楽曲提供でも活躍されています。
とてもクリアーで研ぎ澄まされた音色。繊細さでは日本随一と言われる所以が分かりますね♪
津軽三味線全国大会を14歳で初優勝、以後連続優勝を飾り、16歳で3連覇達成として史上最年少で殿堂入りを果たした浅野祥さん。
その経歴に違わず今や多方面で活躍し、ロックフェスやジャズフェスなどへの出演もされています。
高度なテクニックと深い表現力はさすがの一言!
女性もかっこいい!「はなわちえ」「輝&輝」
津軽三味線は何も男性だけのものではありません。
素敵な女性奏者も数多くいるんですよ♪
若手の女性津軽三味線奏者の中でも、随一の実力と名高いはなわちえさん。
2012年には「au Xperia」のCMにも起用されたので覚えている方もいるのでは?
女性らしい艶やかな演奏ながら、津軽の厳しい冬の寒さとそこに生きる人達の力強さをも感じさせてくれます。
いつまでも聴いていたくなる演奏ですね。
兵庫県出身の白藤ひかりさんと愛知県出身の武田佳泉さんによる津軽三味線デュオの「輝&輝(きき)」。
白藤さんはKing Gnuのドラム担当、勢喜遊さんの奥さんでもあります。
古典である民謡から、POPやロックを取り入れたオリジナル曲まで幅広いジャンルで活躍している輝&輝のお二人。
二人の演奏から溢れ出す見事なハーモニー。次代を担う若手奏者として注目度大です!
唄もかっこいい!「杜このみ」「金沢明子」
「じょんがら節」といえば元は唄へ伴奏をつけるもの。
現代でも素晴らしい「唄つき」のじょんがら節はたくさんあります!
小学6年生の頃から数々の大会で賞を受賞し、「民謡チャンピオン」として各地を訪問して唄っていた杜このみさん。
18歳の時に細川たかしさんに見いだされ、師事しています。
伸びやかな歌声が特徴で、気持ちよく唄っていらっしゃるのが伝わってきますね♪
若い頃から民謡歌手として活躍する金沢明子さん。
1975年に「民謡界の百恵ちゃん」のキャッチフレーズでアルバムデビュー。
過去には紅白歌合戦にも出場するなど、民謡歌手として華々しく活躍されていました。
さすがの貫禄、確かな実力を感じさせる歌声はとても安定感があります!
まとめ
「津軽じょんがら節」と言っても、奏者が違えば印象は全く異なるもの。
じょんがら節の奥深さに、もっともっと知りたくなりますね♪
今回ご紹介した以外にも素晴らしい奏者はまだまだいらっしゃいます。
是非、心震える演奏を探してみて下さい!